オフィス・店舗の電気代を下げる方法|法人向け対策
目次
電気代が高くなったと感じても、法人(オフィス・店舗)ができる対策は「やみくもな節電」だけではありません。
電気料金は、基本料金・電力量料金・燃料費調整・(契約によっては)市場価格調整・再エネ賦課金など、内訳ごとに効く打ち手が違うため、順番を間違えると効果が出にくくなります。
この記事では「契約の見直し」から「設備改善」「行動変容」までお伝えします。
電気料金の仕組みを最低限理解する

削減策を正しく選ぶためには、電気料金がどのように計算されているかを知ることが出発点です。
仕組みを知らずに施策を打つと、効果の薄い手段に時間とお金を使ってしまうリスクがあります。
電気料金の3つの構成要素
法人(低圧・高圧問わず)の電気料金は大きく以下の3要素で決まります。
①基本料金
契約電力(kW)に応じて毎月固定でかかる料金。
高圧契約(50kW以上が目安)では「デマンド値(最大需要電力)」が契約電力を決める仕組みが多い。
②電力量料金
実際に使用した電力量(kWh)に単価を掛けた変動費用。
季節・時間帯によって単価が変わる料金体系も存在する。
③燃料費調整額・再生可能エネルギー賦課金
電力会社の調達コストや国の政策に連動して変動します。
料金体系は契約種別(低圧従量電灯、高圧電力など)や電力会社によって異なります。
自社の料金明細と電力会社料金体系を必ず照合してください。
電気料金の基本算定式
法人の支払額は、以下の4要素の合計で構成されます 。
- 基本料金:契約容量(またはデマンド値)に基づく固定費。
- 電力量料金:使用量に応じた変動費。
- 燃料費等調整額:化石燃料価格の変動を反映する調整項目。
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金):国全体の再エネ導入費用を全需要家で分担するもの。
基本料金の決定メカニズム
高圧契約以上では、基本料金は「実量制」が採用されることが一般的です。
これは、過去12ヶ月の各月の「最大需要電力(デマンド値)」のうち、最も高い値が契約電力となる仕組みです 。
※デマンドとは:「30分間における電気の使用量の平均値」のことです。
- 30分単位の計測:デマンド値は30分間の平均電力で算出されます。
- 12ヶ月の拘束:たった30分間、一度だけ空調と大型機械を同時にフル稼働させてピークを作ってしまうと、その後11ヶ月間、一度もその電力を使わなくても「高い基本料金」を払い続けなければなりません。
- 力率割引:電気の効率を示す「力率」が85%を上回ると基本料金が最大15%割引され、下回ると割増されます 。
自社でコントロールしやすい事・しにくい事の早見表
| 内訳 | 何で決まる? | 自社での主な打ち手 | 変わりやすさ |
|---|---|---|---|
| 基本料金 | 契約容量・契約電力、(契約により)力率など | 契約電力の見直し、ピーク抑制、力率改善(要専門) | 中〜高(契約/運用で変動) |
| 電力量料金 | kWh×単価 | 空調・照明・冷凍冷蔵等の運用改善/省エネ機器 | 中(プランで変動) |
| 燃料費調整 | 輸入燃料価格・為替など(制度で自動調整) | 直接は変えにくい(kWhを減らすのが基本) | 高(毎月動き得る) |
| 市場価格調整 | 卸市場価格等(契約により反映) | 固定/市場連動の選択、価格リスク管理 | 高(市場で変動) |
| 再エネ賦課金 | 全国一律の単価×kWh(年度更新) | 直接は変えにくい(kWh削減が基本) | 高(年度で改定) |
コストゼロで着手する電気代削減~請求書・契約情報の見直し~

契約の見直しは初期投資がほぼゼロで着手でき、場合によっては年間コストを数十万円単位で改善できる可能性があります。
ただし、契約変更には一定の手続き期間が必要なため、早めに動くことが重要です。
まず現在の契約内容を把握することから始めましょう。
ステップ1:現在の契約内容を確認する
確認すべき項目は以下の通りです。
- 契約種別(低圧従量電灯B・C、高圧電力など)
- 契約電力(kW)
- 現在の単価体系(時間帯別か、一律か)
- 直近12ヶ月のデマンド値の推移(高圧の場合)
電力会社のWebポータルや、毎月届く検針票で確認できます。
わからない場合は電力会社のカスタマーセンターへ問い合わせることが最も確実です。
ステップ2:料金プランが自社の使用パターンに合っているか検討する
時間帯別料金プランは「昼間の使用量が少なく、夜間に多い」業種(製造業・飲食店の早朝準備など)で効果的な場合があります。
一方でオフィスのように昼間のみ稼働する場合は、割高になるケースもあります。
電力会社に「使用量実績をもとにプランシミュレーション」を依頼するといいでしょう。
ステップ3:新電力(小売電気事業者)への切り替えを検討する
2016年の電力自由化以降、法人は新電力と呼ばれる小売電気事業者と自由に契約できます。
切り替え前に必ず確認すること
- 切り替えに工事費用が発生するか(基本的に不要だが要確認)
- 解約違約金の有無と期間
- 新電力の財務健全性・事業継続リスク(2021〜2022年のエネルギー価格高騰時に複数の新電力が事業停止したことは記憶に新しい)
- 再生可能エネルギー証書(非化石証書など)のオプション有無
新電力の料金プランは市況に連動して変動するものもあります。
固定型か変動型かを必ず確認し、契約書の条件を確認してください。
ステップ4:デマンド値(契約電力)を適正化する(高圧契約の場合)
高圧契約では「過去12ヶ月の最大デマンド値」が翌年の契約電力の基準になる仕組みが一般的です。
たとえば1回でも極端に高いピーク電力を記録すると、その後12ヶ月間の基本料金が高止まりします。
デマンド監視装置を導入してピークカットを行うことで、基本料金の削減につながります。
コストゼロで着手する電気代削減~使用量の削減~
日常の「無意識な浪費」を可視化し、ルール化することで、即座にキャッシュフローを改善できる方法です。
空調運用の最適化
空調は設定温度を1℃調整するだけで、そのエネルギー消費を約10%〜13%削減できるとされています。
- 設定温度の厳格化:夏季28℃、冬季20℃を標準とします。ただし、湿度管理(夏季は50〜60%)を併用することで、体感温度を維持しつつ設定温度を緩和することが可能です。
- フィルター清掃の定例化:2週間に1度の清掃により、冷房で約4%、暖房で約6%の消費電力を削減できます。長期間清掃していない場合は、最大27%もの効率低下を招くことがあります 。
- 室外機の環境整備:室外機の周囲に障害物を置かず、風通しを良くします。また、直射日光を遮るシェードの設置も有効です。室外機の負荷が下がると、電力消費は劇的に改善します 。
照明・事務機器の管理
- 昼休み・不在時の消灯:基本的なことですが、徹底されている企業は意外と少ないのが現状です。
- 照明の間引き:廊下や倉庫など、安全に支障のない範囲で蛍光灯を間引きます。
- OA機器の省電力設定:PC、コピー機のスリープモード移行時間を最短に設定します。
運用改善の「可視化」と「教育」
スタッフの節電意識を高めるには、精神論ではなく「数値」が必要です。
- 目標値の共有:前年同月比で「使用量を5%減らす」といった具体的な目標を掲示します 。
- デマンド閲覧の習慣化:スマートメーターのデータをWebで閲覧できるサービス(BEMS等)を活用し、どの時間帯に電力が突出しているかを全社員に公開します。
まとめ
法人の電気代削減は「難しい専門知識が必要」と感じる方も多いですが、順番を守れば初心者でも着実に進められます。
まずは電気料金明細と契約内容の確認から始め、「契約の見直し→設備の効率化→運用ルールの整備」の順で優先度をつけて取り組みましょう。
よくある質問
Q1. 新電力に切り替えると停電リスクが上がりますか?
A. 電力の送配電(電線を通じた供給)は地域の一般送配電事業者が担うため、切り替え後も停電リスクは変わりません。
停電時の対応窓口は引き続き地域の送配電会社となります。
Q2. 賃貸オフィス・テナントでも電気代削減はできますか?
A. 契約形態によります。電気を直接契約している場合は料金プランや新電力への切り替えが可能です。
ビルの一括受電方式の場合はオーナー・管理会社との交渉が必要です。
設備変更(照明のLED化など)は原状回復義務や管理規約を事前に確認してください。
Q3. デマンド制御装置はどんな事業所に向いていますか?
A. 高圧契約(一般的に契約電力50kW以上)で、かつ電力使用量のピークに大きなばらつきがある事業所に向いています。
低圧契約の小規模事業所では費用対効果が合わないケースが多いため、まずは電力会社や専門業者に相談してみましょう。
Q4. 省エネ診断は費用がかかりますか?
A. 省エネルギーセンターや一部の自治体では無料または低コストの省エネ診断サービスを提供しています。内容・費用は年度・地域により異なるため、各機関の公式サイトで最新情報を確認してください。
Q5. 何も投資せずにできる削減策はありますか?
A. あります。料金プランの見直し依頼(電力会社への問い合わせのみ)、終業時の消灯・電源オフ習慣の徹底、空調設定温度の見直しは初期投資ゼロで実施できます。
Q7. 複数拠点ある場合、どこから手をつければよいですか?
A. 電気代の金額が最も大きい拠点から着手するのが費用対効果の観点から合理的です。
拠点ごとに契約種別・使用パターンが異なるため、各拠点の明細を個別に分析することが重要です。
【重要】本記事をご利用になる前に必ずお読みください
本記事は、OA機器、空調設備、防犯カメラ等のIT・設備機器に関する一般的な情報提供を目的としたものです。以下の点をご留意のうえ、ご自身の責任と判断でご活用ください。
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1. 機器の保証および故障リスクについて
本記事で紹介する設定変更、カスタマイズ、または非純正品の利用は、メーカーや販売店の製品保証の対象外となる可能性があります。また、操作ミス等による故障やデータ消失について、筆者は一切の責任を負いません。
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2. 法令および専門資格の遵守について
エアコンの設置や電気配線、防犯カメラの設置等には、電気工事士等の国家資格が必要な場合や、建物賃貸借契約上の制限がある場合があります。ご自身で作業を行う際は、必ず関連法令や契約内容を確認し、必要に応じて専門業者へ依頼してください。
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3. プライバシーと肖像権について(防犯カメラ等)
防犯カメラの設置・運用に関しては、個人情報保護法や各自治体の迷惑防止条例、肖像権への配慮が必要です。設置場所や管理方法については、法的リスクをご自身で十分にご検討ください。
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4. 環境による差異と効果の非保証
記載されている省エネ効果、導入コスト、性能数値などは、特定の条件下での事例であり、すべての利用環境において同様の結果を保証するものではありません。
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5. 情報の鮮度と正確性について
IT・設備機器の仕様や法規制は頻繁にアップデートされるため、常に最新情報を公式サイトやなどで必ずご確認ください。
【免責事項】
本記事に掲載された情報に基づいて発生した損害(直接的・間接的を問わず、機器の故障、事故、法的トラブル、契約上の不利益等)について、筆者および掲載媒体は一切の責任を負いかねます。 最終的な判断と実施は、すべて利用者ご自身の責任において行っていただきますようお願い申し上げます。